語り部・市原悦子

すごい人だなー。「家政婦は見た」のころから、どういう演技してるんだ、と不思議だった。なんだかつかめない。雲のようにふわふわしている。このごろ出てこないな、という矢先、出てきた。
NHKの鶴瓶の「家族に乾杯」という番組。で、鶴瓶と、アポなしで個人の御宅に行ってインタビューする。市原悦子の希望は、一人暮らしの高齢者を訪ねたい、とのこと。
もちろん、事前にスタッフと打ち合わせをしているだろうから、突然の発言ではないだろう。ただ、番組のタイトルは「家族」なんだけど。で、彼女自身がご主人をなくして、つまり「家族」をなくした、というわけ。
そうだ、家族って、形が変わるんだなー、と思った。そんなこと当たり前なのに、そこにあるときはいつまでも続く、と思っている。だから、形が変わると、人はうろたえ落ち込む。でも、それは分かっていたことのはず。
独居とか一人暮らしとか、このごろ耳にするけれど、みんなだれかと一緒だった。はじめから一人じゃない。時の流れで、あるいはアクシデントで形が変わり一人になる。家族という言葉が、その変化のすべてをいうのならそれも家族。
で、市原悦子という語り部に導かれて、家族の物語がひもとかれていく。みんな思い出の写真や手紙、植物を披露する。それも家族のかたち。そうだ、市原悦子は、語り部なのだ。日本昔ばなしのときから、家政婦のときも。
わかった、わかった。彼女のあのセリフ回しは、語り部独特のものだ。日本の伝統芸だ。市原悦子は、職人だ。いつも同じスピードで、同じトーンで、ぶれない。それ、難しいに違いない。すごい、市原悦子という人。http://www.xn--ldry53fcyatvt73b.com/